OGRE YOU ASSHOLE『ムダがないって素晴らしい』
OGRE YOU ASSHOLEはここ一年でハマったバンドだ。僕はゆらゆら帝国のSweet Spot以降のダウナーな調子を好んでいるのだが、彼らはもう解散して新曲が望めないことから、代わりの何かを漁るようになった。そして、見つけたのがこのOGRE YOU ASSHOLEだ。
この二つのバンドには共通点がある。どちらも石原洋という方にプロデュースされ、中村宗一郎という方がエンジニアとして携わっている。ゆらゆら帝国の曲が好みならば、自然とOGRE YOU ASSHOLEにも行き着くかもしれない。
ただ、彼らの曲は似ているように感じる点もあるが、全く同一視することはできない。それは作詞の違いからくる音の表現なのかは分からないが、ゆらゆら帝国が象徴的でメタ視点が織り込まれ、ニヒリズム、もしくは、アナキズム的な世界観を作り出してきたとすれば、OGRE YOU ASSHOLEは抽象的に、あるいは、ディストピア的に、やはりニヒリズムやアナキズムを表現していると思っている。ストーリー性という意味でも、彼らの詞は対極にあるだろう。本質は同じだとしても、表現する方法が異なるというのは面白いものだ。はじめは代わりのつもりが、全く代わりにはならなかった、という話だ。
今回紹介する『ムダがないって素晴らしい』は、PVも含めてディストピア的な雰囲気を醸し出している。彼らの楽曲の中でも、ストーリー性を感じられる詞だ。
街から匂いや色や音が消えた。
ムダのない記号のように見える。
一つも余らない。
ムダがないって素晴らしい。
波立つ心もなくし続く。
ここで会う二人はムダなく恋をした。
正しく時間が経っていく。
どこまでも。
いつまでも、変わらず続くみたい。
二人の乾く心に流れたムダのない涙。
まだまだ続く終わるはずの場所も
終わらず遠くでかすんで見える。
二人の中にはムダなはずの感情が
ああ、でも、消えていくだろう。
ムダのない朝に。